安ふ楽や
龍の居なおる 雲の井に
天女の鼓 聞こゆうれしさ
雲澤寺は、日蓮宗の総本山身延山久遠寺の13代目住職、宝聚院 日伝上人が、室町時代の1538年・天文7年に創建したお寺です。
日伝上人は、龍が棲み心安らぐこの地の景観に魅了され、
「安ふ楽や龍の居なおる 雲の井に 天女の鼓 聞こゆうれしさ」
と詩を詠まれました。
その詩が寺号の由来となり『安龍山 雲澤寺』という珍しい名がつけられたのです。
そして身延山の直末寺院として、富士川に沿った旧みのぶ参詣道中にあるこのお寺を、日蓮大聖人の教えを広める大事な布教拠点といたしました。
以来450年余、自然と調和し地域に親しまれるお寺として脈々と受け継がれています。
安ふ楽や
龍の居なおる 雲の井に
天女の鼓 聞こゆうれしさ
日蓮聖人像
日蓮聖人がお過ごしになられた鎌倉時代は、自然災害や疫病等あらゆる危機に見舞われていたと言われています。それは奇しくも、私たちが生きている現代の日本を連想させられます。
しかし、現代のように化学や医療等あらゆる分野で発展していない鎌倉時代は、多くの人々が飢えや病に苦しみ希望を失っていました。
日蓮聖人はそのような時代に於いて、
「苦しい世の中ではあるけれども、絶望せずお互いに支えあって生きていくのが仏様の教えである」
と、お釈迦様が説かれたもっとも重要な教えである『法華経』をお説きになりました。
そして『法華経』の功徳が凝縮された『南無妙法蓮華経』のお題目をお唱えし生涯にわたって布教をされたのです。
当山の境内に佇む日蓮聖人は平成29年に建立され、ご参拝の方々を温かくお迎えされています。
七面大明神
日蓮聖人のお説法を聴き、法華経とその教えを信じる人を守ると誓いを立てた女性の神様。
右手に鍵、左手に宝珠を持っている。
右手の鍵で心の扉を開け、悩み苦しみを聞き、左手からその人にあった宝を授けてくれるといわれる。雲澤寺の開山、日伝上人に七合鍋と祈祷術を授けたと伝えられる。
ご縁日 9月19日
三十番神
1カ月30日の間、毎日交替で法華経の信仰者を守護する、日本の主要な神々。
日蓮聖人が京都の比叡山の修行でお住まいになられた横川定光院にて姿を現わし、法華経とその行者を守護すると誓われたと伝えられる。
蓮光大龍神
開山日伝上人が感得された、当地を守護する龍の神様。
古来より龍神は仏教を守護する神と言われ、水中に棲み、雲や雨をもたらすとされる。お釈迦様がご誕生された際、喜びの涙で雨を降らしたと伝えられる。
ご縁日 9月2日
鐘楼堂
当山の鐘楼堂は平成6年に建てられました。
梵鐘は、古くより法要などの仏事の開式の合図や、朝夕の時報に用いられてきました。
一説には、その響きを聴く者は一切の苦しみから逃れ、悟りに至る功徳があると言われております。
雲澤寺の心地よい鐘の音は、毎日朝夕の6時に3回、東日本大震災の発生時間である14時46分に1回、静寂の山里に響きわたります。
毎年大晦日には除夜の鐘が執り行われております。